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所長コラム

所長コラム(令和5年11月)

【移植のセミナーで思ったこと】

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 以前勤務していた病院から、岐阜地区造血細胞移植拠点病院セミナーの案内をもらいました。

 

 いわゆる骨髄移植のセミナーなのですが、近年では骨髄からだけでなく、さい帯血(出産時の臍の緒から採取する血液)などからも移植が行われるので、総称して造血細胞移植(あるいは造血幹細胞移植)と呼ばれています。Webでも参加可能でしたが現地参加も一部OKとのことで久しぶりに現地参加しました。

 

 セミナーでは、移植治療を成功させるための課題と対策などが紹介されました。移植治療においては、移植細胞が引き起こす合併症、抵抗力が落ちた状態に発症する感染症、長い経過の中で起こる晩期合併症など、様々の関門が患者さんを待ち構えています。それを一つ一つ克服することが必要です。

 

 私は血液センターの仕事に就いて3年以上、すっかり医療現場の感覚を忘れていたのですが、発表を聞いて、「そうであった、そうであった」、色々な課題と、それを乗り越えるための移植チームの頑張りを思い出していました。

 

 さて課題といえば、現在の私の課題はほぼ一つに集約されます。「どうやったら多くの皆さんに献血に参加してもらい、それを安定的に病院そして患者さんへ供給できるか」です。ところがセミナーでは輸血の話はほとんど出てきません。移植治療は輸血なしでは実施不可能で、一番血液を必要とする治療とも言えます。しかし輸血は課題には上がりません。

 

 なぜかと考えてみるに、自分が現場にいた時のことを思い出せば理由は明らかです。生活に電気や水道が当たり前のように、移植治療においては、血液製剤は、届いて当たり前、安全で当たり前の、治療を構成するパーツなのです。輸血が課題に上がらないということは、赤十字血液センターがその役目を果たしているということで、きっと良いことなのです。しかし、それを第1の課題とする立場からはちょっと寂しい思いもあります。

 

 あえて課題に上げてくれとは言いません。しかし願わくは、この医療現場の一生懸命と患者さんの頑張りを、献血者や献血支援者、特に学生ボランティアにもっと知ってもらう機会を作れないか。そして「献血したい、献血を応援したい」につなげられないものか、思いを巡らせていました。

 

 それやこれやで会は終わり、数人と話をしていたら、病院も働き方改革でしょうか、皆さま速やかに会場を後にされました。ご挨拶できず失礼した皆さまにはこの場を借りてご挨拶させていただきます。また、ぜひ一緒に私の密かな計画にご協力いただきたくよろしくお願いいたします。

 

 コラムをお読みの皆様にも、ぜひ私の企画(?)妄想(?)を応援いただければ幸いです。

                  岐阜県赤十字血液センター 所長 髙橋 健

 

 写真は、セミナーとは関係ありませんが、昨年7月にいただいた花束に入っていた葉を花瓶に入れておいたら、根は出ないけれど1年を超えて緑を保ち、今年8月、葉の上から葉が出てきて(!)、今年11月、それがさらに3本に増えた様子です。珍しいのと頼もしいので上げてみました。

 

                           

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