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ありがとうの声

パリパラリンピック銀メダリストの鬼谷慶子選手より、献血へのメッセージをいただきました

___________.jpg昨年のパリ2024パラリンピック 陸上女子円盤投げで銀メダルを獲得された、鬼谷 慶子選手(高知市出身)より、

献血にご協力くださった方々への「ありがとうの声」をお寄せいただきました。

 

鬼谷選手は、20才の時に自己免疫性の神経難病を発症。闘病生活の中で、血漿交換や免疫グロブリン療法といった、献血で提供された血液を用いた治療を経験されてきました。

 

現在も定期的に治療を受けながら、パラ陸上投てき競技に邁進される鬼谷選手。昨年、パラリンピック初出場で銀メダル獲得という快挙を成し遂げられました。

「パラリンピックという大舞台で競技をする事ができたのは、献血にご協力くださる方々が競技は元より生活を支えてくださっているおかげ」だと、鬼谷選手は語ります。

 

以下、お寄せいただいたメッセージです。

  

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献血にご協力くださった方々へ

 

 こんにちは。私は東京エネシス所属アスリート、パラ陸上競技の円盤投げの鬼谷慶子です。パリ2024パラリンピックで銀メダルを獲得することができました。こうして競技ができるのは、多くの方々の支え、そして献血に協力してくださる皆様のおかげです。このメッセージを通じて、感謝の気持ちをお伝えできればと思います。

 

 私は高知県で生まれ育ち、中学の時に友達に誘われて陸上部に入り、高校生の時から円盤投げとハンマー投げを専門種目として試合に出場していました。

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(高校生の時、ハンマー投げで国体に出場)

 

 大学2年の6月、自己免疫性の神経難病を発症しました。なんとなくめまいや足の痺れがありましたが、休んだら治るだろうと思い、その日は家に帰りました。しかし次の日の朝起きると、立っていられないほどのめまいや足の脱力があり、病院に行くとそのまま緊急入院になりました。そこから治療とリハビリをして杖で歩けるくらいに回復しましたが、再発し、一時期は寝たきり状態になり、そして今の車椅子での生活となりました。

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 大学を長期休学し、治療のため入院か自宅療養のみの生活になりました。この時自分は将来どうやって生きていけばいいのだろうかと悩む中、周りの友達は大学を卒業して社会人として歩み始めているのを見て、自分だけ時が止まっている様に感じました。大学時代の恩師から「変えられるものを変える勇気、変えられないものを受け入れる冷静さ、変えられるものと変えられないものを区別する賢さ」という言葉を教えてもらいました。その言葉を心に留め、周りの人に助けて頂きながらその時の自分に出来そうなことに挑戦をしたり、行動を起こしていきました。その中で出会ったものの一つがパラスポーツでした。

 

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 病気になって以来、円盤を持った時は円盤がフライパンの様に重く感じ、始めたばかりの頃は少し投げると一週間ほど体のあちこちが痛くなるような状況でしたが、心はすごく元気になり、それと同時に打ち込める事がある喜びを感じました。そこから日々練習に邁進し、地区大会からアジア大会、世界選手権とどんどんと大きな大会へとステップアップしていき、パラの円盤投げを始めて約2年間でパラリンピック出場が決まりました。

短い期間でしたが、積み重ねたこの2年間はとても濃い時間でした。試合に出ようとするたび移動や滞在先の事などに問題が生じたり、私1人では到底諦めていた場面が多くありましたが、家族や周りの方の支援のおかげで問題をその都度解決し、競技を続けているとパリパラリンピックという、全く想像していなかった場所にいました。

パラリンピックという大舞台で競技をする事ができたのは、献血にご協力くださる方々が競技は元より生活を支えてくださっているおかげです。

 

 私が患っている自己免疫疾患とは、免疫細胞などが、誤って自分自身の細胞を攻撃してしまう病気です。これに対して血液浄化療法や免疫グロブリン療法などの治療があり、実はどちらも献血との深い関わりがあります。これらの治療で使う製剤の一部には献血で提供された成分が使われる事があります。私はこの治療を今も定期的に受けております。献血は輸血だけでなく、多くの治療法に欠かせない存在で、日常的に多くの人を支えています。

 

 競技だけでなく日々の生活も、多くの方の献血へのご協力なしでは成り立たないことを、私自身が強く感じています。皆さんの献血が、様々な困難を抱える人にとって大きな希望となっています。献血の血液がどこでどの様に使われているかなかなかイメージがつきづらいですが、想像よりも「すぐ近くにいる誰か」が救われているかもしれません。

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 最後に、献血にご協力くださっている皆様に改めて感謝申し上げます。これからも、多くの命を支える献血へのご協力をよろしくお願いいたします。

  

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■鬼谷 慶子 選手

高知県高知市出身。20才の時、自己免疫性の神経難病を発症。左半身にまひが残り、車いすでの生活となる。血漿交換療法や免疫グロブリン療法といった、献血血液を用いる治療を定期的に受けながら、パラスポーツの投てき競技に取り組み、パリ2024パラリンピックに出場、陸上女子円盤投げ(座位F53)で銀メダルを獲得。現在、東京エネシス所属。

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【血漿交換療法】患者さんから血液を取り出し、血液中の血漿の中の病気のもととなっている物質を除去し、献血で提供された健康な人の血漿を補って体内に戻す治療法。

 

【免疫グロブリン製剤】献血で提供された血漿から、免疫グロブリンというタンパク質を抽出・精製して作られる薬。感染症や神経疾患、川崎病などの治療に使われる。

 

 

献血で皆様からいただいた血液は、輸血に使用されるほかにも、血液中の成分を抽出・精製して作られるおくすり、"血漿分画製剤"となって、様々な病気の治療に日々役立てられています。

 

輸血や、血漿分画製剤を必要とされている患者さんのために、献血へのご協力をよろしくお願いいたします。

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