はや12月です。今年は大変な一年でした。早く過ぎて行って欲しいと思いますが、12月には忘れてはならない日があります。
十二月記憶の底の八日かな(田中よしとも)
「普通に新しい年を迎えたいものです。」と、昨年12月の小欄に書きました。その願いはかなわず、年明け早々に、今も続く新型コロナウイルス感染症の流行が始まり、7月には熊本をはじめ日本各地を集中豪雨が襲いました。
50年あるいは100年に一度と言われるような豪雨、経験したことのないようなスーパー台風の襲来、さらには世界各地でみられる干ばつ、洪水、熱波、森林火災、生態系の変化などは地球温暖化の影響と言われています。地球温暖化は、温室効果ガスである二酸化炭素の大気中濃度の上昇よるものです。これは人間の活動によって引き起こされました。私たちの社会は、消費をすることによって経済が回り発展していきます。更なる経済発展を目指した結果、自然に負荷をかけることになりました。そしてついに自然が牙をむき始めたのです。エボラウイルス、SARSウイルス、MARSウイルス、新型コロナウイルスなどの新しいウイルスの出現も、私たちの発展のため自然を傷つけた結果なのでしょう。
「貧しい人とは、少ししか持っていない人のことではなく、際限なく欲しがる人、いくらあっても満足しない人のことです」。これは、「世界一貧しい大統領」と呼ばれた南米ウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領の言葉です。彼は、経済発展を唯一無二のものとし消費を促す市場優先の社会に疑問を投げかけました。考えてみれば私たちは無駄な消費をついしてしまっています。「幸せとは、ものを買うことと勘違いしているのです」(ムヒカ元大統領)と言われて、即座に否定できない自分がいます。私たちは知らず知らずのうちに自然を傷つけてきました。
南米エクアドルに伝わる「ハチドリのひとしずく」は、森が火事になり動物たちが逃げ出す中、ハチドリはたった一匹で小さなくちばしですくった水を何回も何回も火の上に落としていくお話です。「そんなことをして何になるんだ」と動物たちは嘲笑いますが、ハチドリは「私は、私にできることをしているだけ」と答えます。「あなたは、あなたにできることをしていますか?」と問いかけられている気がします。地球温暖化に、自然破壊に、私たち一人ひとりが取り組んでいかなければなりません。
日本の輸血医療は献血という善意に支えられてきました。今般のコロナ禍において献血者は減少しています。今、皆様一人ひとりのご理解、ご協力が必要です。どうかよろしくお願いいたします。なお、混雑回避のため献血会場には予約して来ていただくと大変助かります。
最後になりましたが、皆さまよいお年をお迎えください。
令和2年12月
参考図書
世界で一番貧しい大統領と呼ばれたホセ・ムヒカ 心を揺さぶるスピーチ 国際情勢研究会・編