3月は淋しい月?
血液センターの駐車場に数台の真新しい血液運搬車が並んでいます。替わりにこれまで使ってきた運搬車が去ります。その一台のダッシュボードを覗いてみると27万㎞を超える走行距離が記録されていました。
この車は平成25年10月の登録です。タクシーなどでは50万kmに及ぶこともあるとのことで、それに比べればまだまだかも知れませんが、岐阜県内各地の病院に血液を運び、8年と5ヶ月、日々淡々と役目を果たしてくれたことと思います。
さて、3月は人が動く時期です。岐阜県赤十字血液センターでは、私の着任以後2年間を支えてくれた事業部長をはじめとして数名が血液センターを去ります。また、献血部門のリーダーをはじめ数名が東海北陸ブロック内の他センターに移動します。このように年度替わり準備で慌ただしい時ですが、それとともに血液センターの3月は、年度明けで献血が少なくなる4月上旬に向けて血液を蓄えておかないといけない時期でもあります。しかし、今年の3月は新型コロナウイルス感染症などの影響が続いており、例年と異なり蓄えが出来ていません。と言う訳で、くだんのリーダーは転勤準備どころでなく日々の血液確保に頭を悩ませております。
私はと言いますと、先月のオリンピックで「○○を手ぶらで帰らせるわけにはいかない」と、チーム一丸メダルを獲得したカーリング女子にあやかり、「◎◎を情けない男として送り出す訳にはいかない」と檄を飛ばしています。しかしスタッフ内で空回りしてもどうしようもありません。献血者の皆様にこの思いが届いて、そのご協力で初めて達成できるものです。さて結果が気になるところです。
人が動く3月。血液センターだけでなく、これまでお世話になった各方面の方々についても移動の連絡が届いております。皆様ありがとうございました。暖かくなり桜は咲きましたが少しだけ淋しい月です。
そんなことを思っていたら、30年程前、私の小型のドイツ車が不調となり買い換えた時のことを思い出しました。新しい車が届けられ、駐車場から去って行く古い車を見送りながら、あのマニュアル車であちこち走った9年間が心に溢れました。
ただし、その約15分後には、私はオートマ車のハンドルを快調に握り、ビートルズの曲で聞いたことがあった「ラ・マルセイエーズ」(新しい車の原産国の国家)をハミングしていたことを告白いたします。
さあ4月、また皆様、よろしくお願いいたします。
岐阜県赤十字血液センター
所長 髙橋 健