【 献血のある風景3月 】
3月半ばのとても暖かくなった日、久しぶりに歩いてみたら、以前のコラム(2022年1月、2月)に上げたことのある川沿いの水仙はすでに枯れ始めていました。
以前はマメに歩いていたのに、最近はすっかり歩かなくなっていたことを水仙に知らされました。
しかし、暖かいと思ったら急に寒さが戻ったり、強風が吹いたり、さらに黄砂や花粉が舞ったりと3月は油断できません。
そんな3月のはじめの、ニュースがしきりに東京の雪を伝えていた日のことです。岐阜は雪ではなかったけれど寒い雨でした。岐阜市南部の血液センター献血ルームの玄関脇に1台のバイクが止まっていました。
この献血ルームに来られる献血者さんは車の方がほとんどですが、バイクの方も多いことは以前から気づいていました。しかし、このバイク、右ハンドルにかぶせたヘルメットに加えて、フロントからシートのあたりは、濡れを乾かすために広げられたレインウエアですっぽりと覆われ、左ハンドルからは地面すれすれまでバイクジャケットが垂れ下がっていました。
さて、私のバイク経験はと言えば、学生の頃、友達の原付(50cc)を借りてアパートの周りをグルグルした程度です。しかし、当時、バイク小説や漫画が流行っていて、多くの若者の憧れのようなところがあり、私もそのような若者(!)の一人でした。
そんな昔の思いもあって、このバイクが気になり、スタッフにどなたかを尋ね、話を伺いました。
今日は予約日だったとのことです。小説から抜け出てきたようなバイクの主は、寒さも雨も何のその、当たり前のことのように採血チェアに座っておられました。
献血は本当にいろいろな皆さんに支えてもらっていることを実感いたします。
しばらく後の駐輪スペースからはバイクは消えていましたが、了解をもらい写した1枚をここに上げさせていただきます。
岐阜県赤十字血液センター 所長 髙橋 健