安全性の高い血液の迅速な供給に努めています。
安全性の高い血液の迅速な供給に努めています。
献血された血液は、血液センターに運ばれ、血液型検査や感染症予防のための抗原・抗体検査、献血後にお知らせする生化学検査などを行います。また、核酸増幅(NAT)検査を実施するため、NAT検査用の検体は、全国8カ所(北海道・東北・関東甲信越・東海北陸・近畿・中四国・九州の各ブロック血液センター及び埼玉製造所)にあるNAT検査を実施している施設に運ばれ、血清学的検査に合格した血液についてNAT検査を実施しています。
血液型検査
核酸増幅検査(NAT)
抗原・抗体検査はウイルスなどに感染した後、血液中に産生される抗原や抗体を検出する方法であるため、感染後しばらくは、感染していることを検査で検出できない期間(ウインドウ・ピリオド)があります。核酸増幅検査(NAT)は、抗原や抗体ではなくウイルスを構成する核酸(DNAまたはRNA)の一部を約1億倍に増幅してウイルスの有無を検出するため、非常に感度と特異性が高く、ウインドウ・ピリオドの短縮を可能にします。
日本赤十字社では、1999年(平成11年)より血液の安全性向上を図るうえでB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、エイズウイルス(HIV)について特に有効なNATを世界に先駆けて導入しています。
ウイルスの種類 | 検査方法 | ウィンドウ・ピリオド |
---|---|---|
B型肝炎ウイルス | HBs抗原検査 | 約59日 |
NAT(HBV DNA)1 | 約34日 | |
C型肝炎ウイルス | HCV抗体検査 | 約82日 |
NAT(HCV RNA) | 約23日 | |
ヒト免疫不全ウィルス (エイズウイルス) |
HIV-1、2抗体検査 | 約22日 |
NAT(HIV RNA) | 約11日 |
参考文献)Schreiber.G.B.et al;NEJM,334(26):1685-90,1996
現在の輸血医療は、必要な成分(赤血球、血漿、血小板)のみを輸血する成分献血が主流になっています。ですから400mL・200mL献血による血液は、各成分の比重値の差を利用して赤血球、血漿、血小板に分離されます。成分献血の場合は、献血時に血漿、血小板を分けて採取することがほとんどで分離は行いません。分離された血液は、検査結果と照合し、すべて合格した血液のみが輸血用血液製剤となります。また、放射線照射輸血用血液製剤は、輸血後GVHDを予防するために放射線があてられた製剤です。
GVHD(Graft Versus Host Disease:移植片対宿主病)は、輸血した血液の細胞(移植片)が患者さん(宿主)の体内で生着・増殖し、その細胞が患者さんの細胞を「異物」として攻撃する致死率の高い病気です。
輸血用血液製剤・血漿分画製剤は、医療機関からの発注があるまで専用冷蔵庫や専用冷凍庫でそれぞれの製剤に最も適した条件で保管され、発注が入り次第、迅速に供給されます。血液センターでは、輸血用血液製剤の種類別・血液型別の過不足の調整や、Rh(-)の血液型やまれな血液型への対応など、全国規模で供給に支障をきたさないよう合理的・効率的な供給につとめています。
冷凍・冷蔵保管庫
献血運搬車