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血液のゆくえ

献血の血液が医療機関に届くまで

現在、東京都では1年間に約60万人(延べ人数)の方々から献血へのご協力をいただいています。みなさまのご協力には心より感謝いたします。

 

血液は栄養や酸素の運搬、免疫など人間の生命を維持するために欠くことのできない機能を多く含んでいます。現在、血液の機能を完全に代替できる手段は存在しないため、医療において輸血は欠かすことができない治療法となっています。みなさまの献血(成分・400mL・200mL)によって必要な血液を確保し続けなければ、現代医療は成り立たないのです。

検査 ー 血液センターにて全ての血液を検査

献血された血液は、血液センターに運ばれ、血液型検査や感染症予防のための抗原・抗体検査、献血後にお知らせする生化学検査などを行います。また、日本赤十字社は1999年(平成11年)より、血液の安全性向上を図るうえでB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)について特に有効な核酸増幅検査(NAT)を、世界に先駆けて導入しました。2014年(平成26年)8月1日から、献血者1人分の血液ごとにNATを行う「個別NAT」を全国8カ所の検査施設で実施。2020年(令和2年)8月5日から、E型肝炎ウイルス検査も全国で導入し、更なる安全性向上に努めています。


NAT施設では24時間365日体制で検体を受け入れ、血清学的検査に合格した血液についてNATを実施しています。

 

検査項目

■検体搬入

検体搬入
検体はお一人の献血につき、5本になります。内訳は、血液型検査用・血球計数検査用・生化学/感染症検査用 ・NAT検査用・保管用(遡及調査のため)。それぞれに同じバーコードが貼られているので人を取り違えることはありません。
1.血液型検査

1.血液型検査

  • ABO血液型検査
  • Rh血液型検査
  • 不規則抗体検査
  • HLA検査(一部)
2.生化学/感染症検査

2.生化学/感染症検査

  • 梅毒血清学的検査
  • B型肝炎ウイルス検査 (HBs抗原・HBs抗体・HBc抗体検査)
  • C型肝炎ウイルス検査 (HCV抗体検査)
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)検査 (HIV-1、2抗体検査)
  • HTLV-1抗体検査
  • ヒトパルボウイルスB19抗原検査
3.血球計数検査

3.血球計数検査

4.NAT(核酸増幅検査)

4.NAT(核酸増幅検査)

  • B型肝炎ウイルス検査
  • C型肝炎ウイルス検査
  • E型肝炎ウイルス検査
  • エイズウイルス検査
5.検体保管

5.検体保管

11年保管

製剤

現在の輸血医療は、必要な成分(赤血球、血漿、血小板)のみを輸血する成分輸血が主流になっています。ですから400mL・200mL献血による血液は、各成分の比重値の差を利用して赤血球、血漿、血小板に分離されます。成分献血の場合は、 献血時に血漿、血小板を分けて採取することがほとんどで分離は行いません。分離された血液は、検査結果と照合し、すべて合格した血液のみが輸血用血液製剤となります。また、放射線照射輸血用血液製剤は、輸血後GVHDを予防するために放射線があてられます。

 

製剤の流れ

製剤の流れ

 

輸血用血液製剤の種類(一部抜粋)

赤血球 赤血球 保存温度:2~6℃
有効期間:採血後28日間
出血および赤血球が不足する状態、またはその機能低下による酸素欠乏のある場合に使用されます。
血 漿 血漿 保存温度:-20℃以下
有効期間:採血後1年間
複数の血液凝固因子の欠乏による出血ないし出血傾向のある場合に使用されます。
血小板 血小板 保存温度:20~24℃
有効期間:採血後4日間 要振とう
血小板数の減少またはその機能低下による出血ないし出血傾向のある場合に使用されます。
全 血 全血 保存温度:2~6℃
有効期間:採血後21日間
大量出血などすべての成分が不足する状態で、赤血球と血漿の同時補給を要する場合に使用されます。

保管・供給

輸血用血液製剤や血漿分画製剤は、冷蔵庫や冷凍庫等でそれぞれの製剤に最も適した条件で保管され 、医療機関から発注が入り次第、迅速に供給されます。都内には4箇所の供給施設(江東区・新宿区・葛飾区・立川市)を設け、 医療機関からの血液要請に24時間対応しております。