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HLAの検査法

1.血清学的検査

HLAの特異性が既知の抗血清とリンパ球上のHLA抗原との反応性によりHLA型を決定する検査法で、主にリンパ球細胞障害試験(LCT法)で行われます。

LCT法は、HLA抗血清とリンパ球を混和し、更にウサギ補体を加え反応させます。HLA抗血清とリンパ球上のHLA抗原が結合した場合、補体反応が活性化され、リンパ球膜が壊されます。膜が壊れたリンパ球(死細胞)と壊れていないリンパ球(生細胞)の割合から、各抗血清との反応性(陽性と陰性)を判定し、反応パターンからHLA型を判定します。

2.DNA型検査(下表参照)

DNAを用いてHLAの対立遺伝子(アリル)を決定する検査法(DNAタイピング)には複数の方法があります。

PCR-SSOPCR-RFLPPCR-SSPPCR-SSCPPCR-SBT
原理 プローブとの相補的な結合 制限酵素により塩基配列に特異的な切断 プライマーによる塩基配列に特異的な増幅 一本鎖DNAの立体構造の形成 塩基配列の決定
検出 標識したプローブとのハイブリタイゼーション 制限酵素による酵素反応 塩基配列に特異的なプライマーによる遺伝子増幅 熱やアルカリ処理による一本鎖DNAの変性 ジデオキシヌクレオチドによるシーケンス反応
判定 結合したプローブの発色または発光パターンから判定 ゲル電気泳動による酵素切断の有無のパターンから判定 ゲル電気泳動による増幅の有無のパターンから判定 ゲル電気泳動パターンにより判定(標準DNAと比較) ゲル電気泳動から直接塩基配列を決定し判定
精度
(要因)
低~高精度(プローブ数) 低~高精度(制限酵素数) 低~高精度(プライマー数) 中~高精度(標準DNA) 高精度
簡便性 やや煩雑 簡便 簡便 やや煩雑 煩雑
処理数 多い 少ない 少ない 少ない 少ない

3.蛍光ビーズ法(PCR-rSSO法 reverse -Sequence Specific Oligonucleotide)

【検査法】

  1. PCR
    ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction, PCR)をし、目的のHLA遺伝子を増やします。

    (画像をクリックで原寸表示)
  2. アルカリ変性
    アルカリ性の条件の下で、2本鎖DNAを1本鎖にします。

    (画像をクリックで原寸表示)
  3. ハイブリダイゼーションと標識
    プローブが結合しているポリスチレンビーズに1本鎖にしたDNAをハイブリダイゼーションさせ、同時にビオチンにPE標識をしたストレプトアビジンを結合させます。

    (画像をクリックで原寸表示)
  4. 測定
    Luminexで測定します。

【結果の管理】

  • HLAタイピング結果として、1つのアリルを決定することが可能な場合もあるが、ほとんどの場合、複数のアリルの可能性があります。
  • ドナー登録者のタイピング結果を全てアリル情報で管理することが困難であることから、複数のアリルの可能性がある場合は、アリルコードを使用し管理・表記します。

※蛍光ビーズ
ポリスチレンビーズを2色(赤とオレンジ)の蛍光色素をいろんな濃度に組合わせ染色し、色分けしたもの