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所長コラム

所長コラム(令和2年12月)

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血液センターの年越し
  

 今年の12月は中旬までは良い天気で温かさが残っていたので油断していました。急に寒波がやって来て雪が積もり、献血会場を半日で切り上げるなどの影響が出ています。岐阜でこの状況なので、北陸、東北、さらに北海道はもっと大変ではなかろうかと思います。寒さとともにいきなり年末の感じとなり、慌ただしさが迫ってきました。困った、今年も10日を切ってしまった。私自身の年越し準備は、床屋の予約から進んでいません(10月コラム参照)

 さて、年越しに備えて赤十字血液センターは準備をしています。行事予定では12月28日仕事納め式、1月4日仕事始め式ですが、実際のところは、病院が血液を必要とする限り、多くのスタッフが年末年始も献血と供給の仕事を続けます。

 献血について、まず、年明けは赤血球が不足しやすいので献血バスが1月1日と2日以外は通常のように赤血球の献血をお願いしてあちこちに伺います(*1)

 さらに、長期の休みでは、有効期限が採血後4日間と短い血小板の確保が重要となります。急性白血病や移植治療の患者さんは正月だからと治療を待てません。このため、しばしば担当医も正月返上で治療に臨みます。この治療を安全に行うために2日毎あるいは3日毎に血小板輸血が必要となります。

 このような血液内科をはじめとする各科・各病院の発注に応えるために、東海北陸7県をまとめたブロック血液センターで需要予測を行い、これをもとに各県の血液センターの必要採血数が決められます。この年末年始は多数の血小板が必要とされており、岐阜センターでは、1月1日以外は毎日2つの献血ルームのいずれかで採血を行います。特に1月2日は、これまで未経験の沢山の血小板採血を目指しています。しかし、ルームを開けるだけでは必要数をいただくことは不可能なので、事前に予約をお願いしてきました。血小板採血は1人40分から80分を要しますので、時間ごとの細かい予約表を作り、11月以降に血小板献血をしていただいたドナーの皆様を中心に、受付担当スタッフや採血の看護師がお願いを繰り返してきました。この甲斐あって、ありがたいことに予約表を埋めることができました。なお、予約なしで来ていただいた場合、待ち時間が長くなることが予測されますので、多くの日程で成分献血は原則として事前予約のみとさせていただきます(*2)

 思い起こせば、病院で血液内科を担当していた、おそらく10年あるいは20年も前の頃です。当時は年末年始の血小板確保がかなり大変でした。血液センターもドナー確保に努めておられたと思いますが、それだけでは足りなかったようで、血小板を多量に使う病院に、できればドナーを派遣していただきたい旨の協力要請がありました。それを受けて主治医は患者さんのご家族にご相談し、お知り合いの方にドナーとなっていただくことをお願いするのですが、ご家族も治療中の患者さんのことで頭が一杯で、また依頼する当てのない方もおられ、とても申し訳ない思いがありました。しかし安全に治療を乗り切るためにとお願いし、何人もの方にドナーとしてセンターに向かっていただきました。

 ところがいつの頃からか、年末年始のドナー依頼が来なくなりました。何故かと思いつつも、締め切り日は普段より早いながら通常のように発注できることが便利で、年末から年明け分まで必要な血小板を沢山依頼しておりました。今回、センターで年越しする立場となってやっとその訳が分かりました。センタースタッフがドナーの皆様と共に頑張っていたのです。

 このように血液センターでは、綿密なプランAで年越しに臨みます。しかし、予約していても、当日体調が優れなかったり、お酒を飲んでしまったりの場合もあります。そのための私の秘めた(と言いつつ公表しますが)プランBがあります。どうしても足りない時のために、男なのに血管が細くて看護師さんは嫌がるけれど、ドナーを準備しています。プランAが順調に進むことを祈りながら、今から栄養のある食事をして、屈伸運動をしつつプランBの発動に備えています。

 本年はありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。

 皆様、良いお年をお迎えください。

(*1): https://www.bs.jrc.or.jp/tkhr/gifu/place/m1_03_bussc.html

(*2): https://www.bs.jrc.or.jp/tkhr/gifu/2020/12/post-181.html

  

岐阜県赤十字血液センター

所長 髙橋 健

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