私は血液センターで働いています。
日々、多くの方が献血に協力してくださる姿を見ては、「ありがとうございます」と、心の中でお礼を伝えてきました。
けれど――
ある日、それは"私ごと"になりました。
父が病気で入院し、数回の輸血を受けることになったのです。
あのときのことは、今でも忘れられません。
輸血が始まってしばらくして、父の顔色がみるみるうちに良くなり、
目を開けて「おう」と笑ったその瞬間。
まるで、命が戻ってきたように感じました。
病室のそばで立ち尽くす私の胸の奥に、じわりとあふれてきたのは――
「この血液は、誰かが"自分の時間"と"自分の体"を差し出してくれたものなんだ」という想いでした。
それは仕事では学べなかった、"命の重み"でした。
そして、どんな言葉を並べても足りないほどの"感謝"でした。
あの日、献血に協力してくださったどなたかへ。
今も、どこかで腕を差し出してくださっている皆さまへ。
職員としてではなく、一人の家族として、心から伝えさせてください。
本当に、ありがとうございました。