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さい帯血バンクについて

さい帯血ってなに?

赤ちゃんとお母さんをつなぐ「へその緒」を「さい帯」といいます。さい帯の中には赤ちゃんの血液が流れており、胎盤を通してお母さんから受け取った栄養を赤ちゃんに運んでいます。出産後はへその緒や胎盤は不要になりますが、その中の血液「さい帯血」には血液細胞をつくり出す「造血幹細胞」が多く含まれており、白血病など血液難病の移植治療に用いられています。

 

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さい帯血移植ってなに?

白血病などの血液難病や遺伝病の治療法として健康な人の造血幹細胞を移植する治療法(造血幹細胞移植)があります。さい帯血には造血幹細胞が多く含まれるため、骨髄液と同様に造血幹細胞の供給源として移植に利用されています。近年では、さい帯血移植は骨髄移植とともに造血幹細胞移植の柱となっています。

移植には誰のさい帯血でも使える訳ではなく、HLAと呼ばれる免疫系の型が患者さんと一致するさい帯血を移植しなければなりません。HLAの型は何万通りもあるため、患者さんと適合するHLA型のさい帯血を用意するには数多くのさい帯血を保存しておく必要があります。

さい帯血バンクってなに?

さい帯血バンクは造血幹細胞移植を必要とする全ての患者さんが移植を受けられるように、さい帯血を保存し、移植施設へ提供するために設立された組織です。2014年4月現在、日本には当バンクを含め、6カ所の認可バンクがあります。

 

認可バンク

 

さい帯血バンクはどんなことをしているの?

さい帯血バンクはお母さんのご厚意により採取させていただいたさい帯血を、造血幹細胞移植に使用できるように適切な処理(調製)と検査を行ない凍結保存しています。保存しているさい帯血の情報は「造血幹細胞移植情報サービス」のデータベース上に公開し、移植施設からの依頼に応じて患者さんに提供しています。

 

採取から移植まで

 

採取

提携する産科施設を通じてお母さんにさい帯血の提供を依頼します。提供に同意してくださったお母さんにはご出産前に同意書等の必要書類に記入、署名していただきます。出産時に提携産科施設の医師または助産師がさい帯血を採取します。また、お母さんからも検査用に血液を少量採取します。さい帯血とお母さんの血液は、必要書類とともにさい帯血バンクに搬送されます。

 

調製・保存

さい帯血がバンクに到着したら、書類内容を確認し、さい帯血に含まれる細胞数を測定します。

基準を満たした場合は、さい帯血の調製作業にとりかかります。作業は無菌室内で行い、さい帯血から赤血球などの不要な細胞を除去して造血幹細胞を濃縮します。濃縮したさい帯血に細胞が死なないように凍害保護剤を添加した後、凍結保存します。

 

検査

さい帯血が保存された場合には、さい帯血とお母さんの血液についてHLA型や感染症の有無など種々の検査をします。全ての検査に合格したさい帯血を、移植に使用されるまで-196℃の液体窒素中で大切に保存します。

 

公開

後日、お母さんとお子さんの健康調査アンケートを実施します。アンケートの回答内容と種々の検査結果をもとに保存されているさい帯血が移植に適しているかどうか最終判断します。問題がなければさい帯血の情報をデータベースに登録し、公開します。

 

提供

移植担当医はデータベースから患者さんに適合するさい帯血を検索し、さい帯血バンクに提供を依頼します。バンクはまず、当該さい帯血が患者さんに適しているかどうか専門委員会で判定します。次に凍結保存しているさい帯血の品質確認検査と、必要に応じて患者さんのHLA関連検査を行った後、さい帯血を移植施設に提供します。移植実施後も、定期的(100日目、1年目、2年目……)に症例報告を回収して、その内容を解析することで今後のさい帯血移植の発展に役立てています。