検査開発部門では感染症や血液型、またそれらの検査法に関する技術的な検討や調査を行っています。
検査開発部門では感染症や血液型、またそれらの検査法に関する技術的な検討や調査を行っています。
E型肝炎ウイルス(HEV)によって引き起こされるE型肝炎は、これまで熱帯地方に特有の風土病と考えられていましたが、最近では日本をはじめ欧米諸国においても世界的に広く存在することがわかってきました。
HEV感染者の多くは不顕性感染として自覚症状がないまま自然に治ってしまいますが、一部の人では急性肝炎を発症し、まれに重症化して死亡する場合もあります。特に海外の流行地域では妊婦がHEVに感染した場合に高い死亡率を示すことが報告されています。最近では移植患者がHEVに感染すると慢性化して肝臓の繊維化が急速に進行することや、一部の感染者では神経症状を起こすことも報告されるようになりました。
HEVは人だけでなくブタ、イノシシ、シカなどの動物にも感染するため、人獣共通感染症ウイルスのひとつとして注目されています。国内ではこれらの動物の生肉やレバー、ホルモンなどを十分加熱せずに食してHEVに感染する例が多数報告されています。
また、HEVに感染した献血者の血液を輸血された患者さんがE型肝炎を発症した例が初めて道内で確認されました。このため、北海道地区では研究的に献血者の方のHEV遺伝子検査を実施し、感染実態調査を行っています。