
2019年、男女の双子を出産しました。その際、弛緩出血によりトータルで4300mLの大量出血があり輸血を受けました。妊娠高血圧のため予定帝王切開での出産でしたが、産後予想以上の出血により産院では対応困難と判断され、日赤医療センターに緊急搬送されました。
先生の『輸血!別の病院に搬送!』という指示や、『血圧上50!』という言葉が飛び交う緊迫した空気の中で、担架にのった私が血だらけ顔面蒼白で運ばれていく姿を見た私の母は、生きた心地がしなかったそうです。
私は激しい悪寒で唇が震えながら『死ぬかも』と自然と涙が溢れ救急車に乗り込みました。血圧が50まで下がっていたということは、命の危険がすぐそこまで迫っていたのだと思いました。
遠のいていく意識の中で、次に聞こえたのは日赤の麻酔科医の先生の声でした。『義歯はありますか?挿管するので今から麻酔をかけますね。すぐ眠くなりますよ。』と言われ、『あ、ドラマでみるやつだ。挿管するんだ。このまま目が覚めないかもしれない。ごめんね。ママ、死んじゃうかも。』と、お世話になった方々への感謝と、子どもや家族への申し訳なさでいっぱいになりました。
主人も医療従事者なので、処置が始まり途中経過を伝えにきた救急の先生から『止血してるけどなかなか止まらないです。最善は尽くします。』と伝えられ、『出血性ショックになるかもしれない、無理かもしれない、助かっても後遺症が残る可能性が高いな。』と内心覚悟をしていたそうです。
どれくらい時間が経ったのか、次に目が覚めた時には様々な管につながれICUにいました。
高度医療がある日本でも、今なお出産は命がけであり奇跡であると改めて痛感しています。
携わってくださった医療スタッフのみなさま、命を救ってくださりありがとうございました。そして献血に協力をしてくださった方々、本当にありがとうございました。言葉では言い表せないくらいとても感謝しております。おかげさまで後遺症もなく、子どもたちも6歳になりました。
私は輸血を受けているので献血が出来ず歯がゆいですが、献血によって助かる命があることを、周りに広めていきたいと考えています。
2025年11月 福井まりさん

