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「命懸けの出産、親子の未来を守った輸血」

「命懸けの出産、親子の未来を守った輸血」の写真

2025年9月、妻が第一子となる女の子を出産しました。

妊娠から出産までは大きなトラブルもなく、順調に進んでいました。陣痛が始まってから約15時間、夜になって元気な産声を上げてくれました。

妻も私も疲労困憊でしたが、生まれたばかりの娘を胸に抱きながら「可愛いね」「元気だね」と、ようやく会えた喜びを分かち合っていました。

自然分娩での出産でしたが、産後の処置がなかなか終わらず、そのうち妻は分娩台から降りられないまま「眠い」と繰り返すようになりました。

最初は陣痛による睡眠不足と出産の疲れだと思っていましたが、血圧を測ると上が70~80程度しかなく、先生や助産師さん達の動きが急に慌ただしくなりました。

実はこのとき、妻の産道にあった仮性動脈瘤が破裂し、出血が止まらない状態になっていたのです。産院での処置では対応しきれず、大病院への緊急搬送が決まりました。

搬送先が決まった時点での出血量は、確認できるだけで約3500ml。

妊娠中は血液量が増えるとはいえ、妻の体から半分以上の血液が失われていると知り、気が遠くなりました。

娘を産院に預け、大病院へ移動。輸血を受けながら、出血を止めるための手術を行うことに。

「まだ意識あるから、大丈夫」と、蒼白な顔で絞り出すように言う妻に、「あと少し頑張ろう、待っとるよ」と声をかけ、手術室へ向かうストレッチャーを見送りました。

手術や輸血の同意書にサインをしながら、「輸血が間に合ったからきっと大丈夫、大丈夫」と自分に言い聞かせていました。

妻と再会できたのは、それから約4時間後、夜明けも近い頃でした。

妻に施された子宮動脈塞栓術は無事に成功し、子宮も残すことができました。

出産から手術までの出血量は約5000ml、輸血は術後の追加分も含めて約2500mlにも及びました。

その後の経過は順調で、今は退院した妻と娘とともに、慌ただしくも幸せな日々を過ごしています。

命に関わる大量出血の中で、奇跡的に妻が助かったのは、産院と大病院の先生方、スタッフの皆さん、献血してくださった方々、そして何より妻自身の頑張りのおかげです。

そのどれか一つでも欠けていたら、今の親子3人の生活はなかったかもしれません。本当にありがとうございました。

術後に輸血量を聞いて驚き、「また献血に行ってお返ししなきゃね」と妻と笑い合いました。

私は以前から「なんとなく良いことをしたい」と思って時々献血に通っていましたが、今回の事で献血・輸血のシステムの有難さ、尊さを初めて実感したように思います。

妻を救ってくれた献血に心から感謝し、今後も誰かの力になれるよう、献血を続けていきたいと思います。

イニシャル:K・O

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